社員からの同じ質問や、お客様からのよくある問い合わせは、AI チャットボットで減らせます。始めるときに押さえることは 2 つです。
- 社内向けと社外向けは別物として考えること
- いきなり高い費用を払わないこと
社内向けなら無料、社外向けでも月数千円から始められる、というのが代表の戸田の考えです。
この記事は YouTube 動画『AIチャットボットで社内・社外の問い合わせ業務を9割削減!無料で始める【Gemini Notebook・Notion】』の内容をまとめたものです。
ツールの料金は動画公開時点(2026 年 8 月)に代表が話していた目安で、変わることがあります。導入前に各社の公式ページで確かめてください。
高額な提案に飛びつく前に知っておきたいこと
チャットボットの導入では、初期費用 50 万円・月 20 万円といった提案が珍しくありません。代表は、こうした提案の多くが「海外のサービスや有名なサービスなら無料か安くできること」に、わざわざ高い値段をつけていると指摘します。
何ができて、何にお金がかかるのかを知っておけば、自社に必要なものを自分で判断できます。
実際に成果も出ています。星野リゾートは、「界」ブランドの 17 施設のサイトに AI チャットボットを置き、それまで電話とメールだけだった問い合わせの約 3 割をチャットボットで受けられるようになりました(出典:ChatPlus 導入事例「星野リゾート」)。
チャットボットは「渡した資料をもとに答える仕組み」
ChatGPT に「うちの会社は交通費がいくらまで出る?」と聞いても、答えは返ってきません。あなたの会社の就業規則を、ChatGPT は知らないからです。
チャットボットは、ここが違います。就業規則や経費のマニュアルなど、答えてほしい内容の資料を先に読み込ませておく。すると、その資料に基づいて質問に答えてくれます。
仕組みとしては、これだけです。
Gemini Notebook で試す手順
代表が動画で実演したのは、Google の Gemini Notebook です。2026 年 7 月に NotebookLM から名前が変わりました(出典:Google 公式ブログ「NotebookLM is now Gemini Notebook」2026 年 7 月 16 日)。代表は無料で使えるツールとして紹介しています。
- Gemini Notebook を開き、Google アカウントでログインする
- 「ノートブックを作成」を押す
- 「ソースを追加」から、就業規則や経費精算のマニュアルなどのファイルを入れる(ウェブサイトや YouTube 動画を読み込ませることもできる)
- チャット欄で「交通費はいくらまで出る?」のように質問する
動画では、業務上の移動の交通費について「1 日あたり 1,500 円まで」「精算は freee で」といった、マニュアルに書いた内容がそのまま返ってきました。設定はこれで終わりです。
マニュアルを作っても、なかなか読んでもらえない。同じ質問に毎日答えている。そんな会社なら、ノートブックを社内に共有して「まずここで聞いてください」と伝えるだけで、質問は減らせます。
社内向けと社外向けは、別物として考える
社内向けのチャットボットは、多少間違えても大きな問題になりにくいものです。交通費の上限を 1,500 円と答えて、本当は 2,000 円だった。そんな間違いがあっても、会社が傾くことはありません。
社内向けと社外向けは、考え方が別だから気軽に始められます。
社外向けは違います。お客様への誤った回答は、会社の責任になります。
カナダでは、航空会社のチャットボットが実際とは違う運賃の割引ルールを案内し、航空会社が賠償を命じられた例があります(出典:CBC News「Air Canada found liable for chatbot's bad advice on bereavement rates」2024 年 2 月)。便利な一方で、怖さもある。社外向けは慎重に進めます。
社内向けは「更新の頻度」と「求める要件」で選ぶ
社内向けのツールは、2 つの軸で選ぶとわかりやすくなります。
- 読み込ませる情報が、どのくらいの頻度で更新されるか
- セキュリティやほかのツールとの連携など、求める要件が多いかどうか
更新が少ない資料なら Gemini Notebook
Gemini Notebook の弱点は、ソースを自分で追加し続けなければならないことです。就業規則や経費のマニュアルは年に 1〜2 回しか変わらないので、古くなったら差し替えれば済みます。
ところが、昨日の会議で何を話したか、チームの今日のタスクは何か、といった毎日変わる情報はどうでしょう。会議のたびに議事録をアップロードするのは面倒で、続きません。
そのうち情報が古くなり、「結局使えない」と誰も使わなくなります。
毎日更新される情報なら Notion
そこで候補になるのが、ドキュメント管理ツールの Notion です。議事録やマニュアルなど、さまざまな情報を書いて共有できます。
ふだんから Notion に情報を書く運用になっていれば、チャットボットのために資料をアップロードし直す手間がいりません。
代表の会社でも Notion をよく使っています。動画で見せたのは、オンラインスクール「デイトラ」のアプリの仕様書です。
割引の条件は「2 コース目の割引」「オプション割引」「プロモーションコード」などが組み合わさった複雑なルールで、開発した代表本人でも覚えきれていません。仕様を Notion に入れておけば、Notion の AI 機能に「割引の条件を教えて」と聞くだけで、該当するページを読んで答えてくれます。
以前なら代表に聞くしかなかった質問です。
セキュリティの要件が高く、多くのツールとつなぎたいなら Onyx
3 つ目は Onyx(オニキス)です。Notion のように社内の情報に質問できるうえ、セキュリティを固くでき、連携できるサービスが非常に多いのが特徴です。
Google ドライブ、Dropbox、Gmail、Slack、Salesforce、Notion などのデータをまとめて読み込ませられます。社内のデータが 1 か所にまとまっていない会社に向いています。
料金の目安と、選び方のまとめ
動画公開時点で代表が話していた価格の目安は、次のとおりです。
ツール | 向いている場面 | 料金の目安(動画公開時点) |
|---|
Gemini Notebook | まず気軽に試したい/更新の少ない資料 | 基本は無料 |
Notion | 議事録など毎日更新される情報を扱いたい | 1 人あたり月数千円から |
Onyx | セキュリティを固めたい/多くのツールと連携したい | 自社で構築すれば無料、利用するなら 1 人 4,000〜5,000 円程度から |
無料で使う形はセキュリティが弱めです。全社で本格的に使うなら、有料版を選ぶほうがよい、と代表は勧めています。
社外向けは、ほとんどの会社が月数千円で足りる
社外向けは用途がはっきりしているので、選び方も単純です。
やりたいこと | 選び方 |
|---|
自社のホームページに埋め込んで問い合わせに答えたい | 代表のおすすめはチャネルトーク。AI がまず対応し、必要なら人に引き継げる。日本語にも対応している |
EC サイトの問い合わせに答えたい | EC 向けのサービスを選ぶ(代表は Gorgias を挙げている) |
誤った回答が絶対に許されない分野 | 個別に開発する |
代表によると、チャネルトークは月数千円から使え、日本の同種のサービスで月 10 万円ほどかかるものと比べると、かなり安く始められます。商品をすすめる提案まで AI がしてくれるので、営業担当のような働きもします。
個別の開発が必要になるのは、金融、法律、医療のように、間違った回答が大きな損害や命に関わる分野だけです。誤った回答をさせないための技術を組み込む必要があり、初期費用が数百万〜数千万円、さらに月数十万円かかることもあります。
裏返せば、それ以外の会社には、外注して作る提案はほぼ不要です。間違えても大きな問題にならない使い方なら、まずは無料か月数千円で試してみる。
営業担当から見積もりを出されても、調べればもっと安く、精度のよいサービスが見つかることが多い、と代表は話しています。
社内向けは Gemini Notebook・Notion・Onyx から、更新の頻度と求める要件で選ぶ。社外向けは専用のサービスで足り、個別の開発が必要なのは誤った回答が許されない分野だけです。
明日から始めるなら
- 社員からよく受ける質問を 5〜10 個書き出す
- その答えが載っている資料(就業規則、経費のマニュアルなど)を集める
- Gemini Notebook に資料を入れ、書き出した質問をそのまま聞いてみる
- 正しく答えられたら、ノートブックを社内に共有し「まずここで聞いて」と伝える
- 議事録など毎日更新される情報も扱いたくなったら、Notion などへの移行を検討する
資料を入れる前に、社員に見せてよい情報かどうかを確かめてください。人事評価や給与など、一部の人しか見てはいけない資料は入れません。