会社で使う AI を ChatGPT・Claude・Gemini から選ぶなら、見る順番は次の 3 つです。

  1. 入れた情報がどう扱われるか
  2. 普段使っている仕事の道具とつながるか
  3. 料金と管理のしやすさ

性能の差は最後です。

3 社とも数か月おきに新しいモデル(AI の頭脳にあたる部分)を出すので、「どれがいちばん賢いか」はすぐに入れ替わります。

データの扱いと道具との相性は、そうはいきません。一度選ぶと、簡単には変えられないのです。

料金や機能は、2026 年 10 月 3 日に各社の公式ページで確かめました。変わることがあるので、契約前に必ず見直してください。

1. 入れた情報が学習に使われるかを、プランで確かめる

最初は、入力した内容が AI の学習(モデルを改善するための材料)に使われるかどうか。3 社とも、法人向けと個人向けで扱いが違います。

業務で使う AI を選ぶときの見る順番。データの扱い、道具との相性、料金と管理を順に確かめ、最後に自社の仕事で 2 週間試す、という 4 段の手順図。
AI を選ぶときに見る順番

サービス

法人向けプラン

個人向けプラン(無料・有料)

ChatGPT

Business・Enterprise などは、既定で学習に使わない

オプトアウト(学習に使わない設定)をしない限り、学習に使われうる。設定の「Improve the model for everyone」をオフにすると、その後の会話は使われない

Claude

Team・Enterprise などは、既定で学習に使わない

本人が許可した場合に学習に使われる。プライバシー設定の「Help improve Claude」で切り替える

Gemini

Google Workspace の Gemini は、許可なくその会社のドメイン外で学習に使われない

「アクティビティを保存」がオンのとき、学習を含むサービス改善に使われ、人が会話を確認することもある

危ないのは、社員の個人アカウントです。会社として線を引けなくなるからです。

取引先や顧客の情報を少しでも扱う見込みがあるなら、会社で法人向けプランを契約し、そのアカウントだけを使うと決めてください。

法人向けなら何でも入れてよい、とはなりません。個人情報保護委員会は、生成 AI に個人情報を含む指示を入れる場合、利用目的の範囲内かを十分に確認するよう求めています。

プラン選びと社内ルール。両方要ります。

性能より先に、データの扱いを見る。法人向けプランを会社で契約し、社員にはそのアカウントだけを使ってもらう。ここが出発点です。

2. 普段使っている道具とつながるかを見る

2 つ目。毎日使っているメール・文書・ファイル置き場との相性を見ます。

資料を読ませるたびにファイルをダウンロードして AI の画面にアップロードし直す、という使い方は、最初の数日は我慢できても、忙しくなった週から確実に使われなくなります。

Google Workspace(Gmail・Google ドキュメント・スプレッドシートなど)を使っている会社なら、Gemini が試しやすい選択肢です。Workspace の Business Standard 以上のプランには、ドキュメントやスプレッドシートの中で使える Gemini が料金に含まれています。Gmail の中なら、いちばん安い Starter からです。

すでに Workspace を契約しているなら、まず管理画面で自社のプランを確かめてください。追加の契約なしで始められる場合があります。

ChatGPT と Claude はどうか。どちらも、外部の道具とつなぐ機能(コネクタ)を持っています。

  • ChatGPT は、Google ドライブ、Gmail、SharePoint⁠/仕事用の OneDrive などとつなげます
  • Claude は、Gmail・Google カレンダー・Google ドライブのほか、SharePoint・OneDrive・Outlook・Teams とつなげます。Microsoft 365 との連携には、会社の Microsoft アカウントが必要です
  • Claude の Team・Enterprise では、組織の管理者がコネクタを有効にしてから使います

Google 派でも Microsoft 派でも、3 つとも候補に残ります。差が出るのは「道具の中で直接使えるか」と「別の画面からつないで使うか」です。

AI と仕事の道具のつなぎ方の違い。左は普段の道具の中で直接 AI を使う形、右は別の画面の AI からメールや文書、ファイルにつないで使う形を比べた図。
道具の中で使うか、別の画面からつなぐか

社員が新しい画面を開くのをおっくうに感じる会社なら、普段の道具の中で使える Gemini(Google の場合)が向いています。

3. 料金と、管理のしやすさを比べる

料金です(2026 年 10 月 3 日時点、公式ページの表示)。

サービス

プラン

料金(1 人あたり月額)

ChatGPT

Business(Standard シート)

年払い 20 ドル⁠/月払い 25 ドル。最低 2 シート

Claude

Team(Standard シート)

年払い 20 ドル⁠/月払い 25 ドル。最低 2 シート

Gemini

Google Workspace Business Standard

1,600 円(税別、フレキシブルプラン)

ChatGPT と Claude は、利用量の多い人向けに上位のシート(Premium シート、年払い 100 ドル⁠/月払い 125 ドル)も用意しています。よく使う人だけ上位にできます。

ChatGPT の料金は、国や通貨によって変わる場合があると公式ページに書かれています。

管理の面では、ChatGPT Business と Claude Team は、SSO(会社の共通のログイン基盤で入れるしくみ)に対応しています。社員の入退社が多い会社や、すでに共通のログイン基盤を使っている会社は、ここも確かめておきます。

監査ログ(誰が何をしたかの記録)や、データの保存期間を会社で決める機能は、どちらも上位の Enterprise プランで提供されています。最初は Business や Team で始め、必要が出てから上位を検討すれば間に合います。

4. 最後に、自社の仕事で 2 週間比べる

候補が 2 つに絞れたら、実際の仕事で比べます。ネットの性能比較は、あくまで一般的な問題での結果です。

手順はこうです。

  1. 毎週くり返している仕事を 3 つ選ぶ(例:取引先へのメール、会議メモの整理、長い資料の要約)
  2. 同じ指示文・同じ資料を、2 つのサービスに入れる
  3. 出てきた結果を、その仕事の担当者が下の表で採点する
  4. 2 週間続けて、点数と「使いたいと思ったか」を集める

採点表は簡単で構いません。

見る点

内容

正確さ

資料にないことを書いていないか、数字を間違えていないか

直す手間

そのまま使えたか、どのくらい手直しが要ったか

言葉づかい

自社の取引先に出せる文面か

使いやすさ

普段の道具から迷わず使えたか

比べるときは、両方とも法人向けプランの試用か、個人情報や取引先の情報を含まない資料で行います。試しの段階の癖は、本番にも残ります。

選ぶ前のチェックリスト

  • 入力した情報が学習に使われない契約・設定を、公式ページで確かめた
  • 社員が個人アカウントで仕事の情報を入れないよう、ルールを決めた
  • 社内で使っている道具(Google か Microsoft か)とのつながり方を確かめた
  • 法人向けプランの料金と、最低契約人数を確かめた
  • 候補を 2 つに絞り、自社の仕事 3 つで 2 週間比べる予定を立てた

どれを選んでも、仕事に合う使い方は使いながら見つかるものです。迷って止まるより、データの扱いだけは確かめたうえで、まず 1 つを数人で使い始めてください。

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