対象の仕事
商談のあとに営業担当が書く、お礼メールと提案書の初稿です。
営業担当は商談から戻ると、手帳やスマホのメモを見ながらお礼メールを書きます。続けて、Google ドキュメントにある過去の提案書から似たものを探して複製し、宛名、商品の組み合わせ、提案の理由、価格を書き換えて初稿を作っていました。商談メモの書き方は人によって違い、箇条書きの人もいれば、ほとんど書かない人もいました。
困っていたこと
提案書の初稿だけで 2 時間ほどかかっていました。商談が 1 日に 2 件ある日は、提案書が翌日以降に回ります。
先方はほかの会社にも声をかけていることが多く、提案が遅れるほど不利になります。過去の提案書を複製するやり方では、前のお客様の名前や商品が残ったまま送りかけたこともありました。
やったこと
STEP 1 商談メモの型を決める
この STEP に AI は入りません。AI に良い下書きを書かせるには、商談の中身がそろっている必要があります。そこで、Google ドキュメントで商談メモのテンプレートを作りました。欄は、先方の困りごと、いま使っているもの、予算、導入したい時期、決める人、次に約束したことです。
営業担当は商談中か直後に、この欄を埋めます。空いた欄が残っていれば、聞き漏らしだとすぐにわかります。
STEP 2 Claude のプロジェクトに、手本と商品の一覧を入れる
Claude のプロジェクト(決まった資料と指示を読ませておける場所)を営業用に 1 つ作り、評判のよかった提案書 15 本、商品の仕様一覧、提案書の型を登録しました。価格は登録していません。理由は「人が残した仕事」で書きます。
プロジェクトの指示には、次のことを書いています。
- お礼メールは、商談で聞いた困りごとを 1 つ挙げ、次に約束したことで締める
- 提案書は型の見出しの順に書き、商品の組み合わせごとに、困りごとのどれに効くかを添える
- 価格と納期の欄は空けたまま返す
- 商品の仕様一覧にない商品は書かない
STEP 3 お礼メールと初稿を、続けて頼む
営業担当は、埋めた商談メモをプロジェクトに貼り、まずお礼メールを頼みます。続けて同じ会話の中で、提案書の初稿を頼みます。Claude が返すのは、困りごとに合わせた商品の組み合わせと、その理由を書いた初稿です。営業担当は、お礼メールをその日のうちに送ります。
STEP 4 営業担当が提案書に仕上げる
営業担当は、提案書のテンプレートから新しい Google ドキュメントを作り、Claude の初稿を貼ります。商品の選び方を確かめ、最新の価格表から価格と納期を入れ、上長に共有します。上長が確認してから、お客様に送ります。
仕組みの全体像
- 営業担当が商談メモを決まった型で書く
- メモを Claude のプロジェクトに貼り、お礼メールの下書きを受け取る
- 続けて、提案書の初稿を受け取る(価格と納期の欄は空き)
- 営業担当が商品の選び方を確かめ、最新の価格表から価格を入れる
- 上長が確認して、お客様に送る
人が残した仕事
価格と納期は、必ず営業担当が最新の表から入れます。仕入れ値や在庫で毎月のように変わるため、AI に覚えさせると古い数字が出るおそれがあるからです。値引きの判断や、どの商品を勧めるかの最終的な決定も営業担当がします。
情報の扱いで気をつけたこと
商談メモには、先方の予算や計画といった、まだ外に出ていない話が含まれます。Claude を使う環境と、メモに書く内容を決めました。
- 商談メモを貼るのは会社で契約した Claude(Team プラン)だけ。個人のアカウントには貼らない。Team プランのやりとりは、既定で AI の学習に使われない
- 商談メモには、先方の担当者の個人の連絡先を書かない
- 提案書を登録したプロジェクトは、営業部だけが使える
変わったこと
提案書の初稿にかかる時間は、2 時間から 30 分になりました。お礼メールは、商談の当日中に出せるようになっています。
先に商談メモの型を決めたので、聞き漏らしに商談の場で気づけるようになりました。
前のお客様の名前が残るような取り違えも、型から作るようになって起きていません。
同じことを始めるなら
期間は 4 週間です。過去の提案書のうち出来のよかったものを 10〜20 本と、商品の一覧を用意していただきます。価格表は AI に読ませないので、いまのままで構いません。
最初の 1 週間は、営業担当 2〜3 名に話を聞き、商談で必ず聞くことを洗い出して商談メモの型を作ります。